じかんどろぼう

四十物茶々(あいものちゃちゃ)です。ゆっくりとSSを上げていきます。

【100日経っても幸せなヤツ】77日目

目が覚めた生き物の目の前には黒い岩石が転がっていた。
辺りを見渡すと先ほどの神秘的な鍾乳洞とは異なりごつごつとした岩が辺りから飛び出していた。

どうやらあの砂場の下は洞窟へと繋がっていたらしい。

砂の力で地面に叩きつけられる衝撃が和らいだようだ。体が、砂の上を流れていく。
砂場から体を起こし、全身の砂を払いながら生き物は耳に全神経を集中させた。
風の流れる音が聞こえる。出口があるようだ。
そちらに向かってゆっくりと歩みを進める生き物の背後から、この世の物とは形容しがたい呻き声が聞こえてきた。
思わず耳を塞ぎ、その場にしゃがみ込む。
何かが這いずってくる音が聞こえる。
生き物はどくどくと全身が心臓になったように胸が騒ぐのを感じながらゆっくりとそちらを見た。

真っ黒な瞳が捉えたのは、同じく真っ黒な化け物だった。