じかんどろぼう

四十物茶々(あいものちゃちゃ)です。ゆっくりとSSを上げていきます。

【100日経っても幸せなヤツ】85日目

目が覚めた生き物は自分たちが吊るされている事実に気が付いた。

麻縄でぎちぎちに絞められた体が苦しい。
横に首を向けると猫が籠に入れられており、最大限の威嚇をしているのが見えた。
「フシャァアアア」と喉の奥から出る叫び声が、辺りに木霊している。
首を反対側に向けると布にくるまれたドラゴンが見えた。
麻縄では縛り切れなかったのだろう。
濃紺色の布にくるまれたドラゴンが困惑した顔をしている。
生き物は辺りを見渡し、二足歩行の生物が視界に入ってくるのが見えた。

それは、どの文献にも描いてあった二足歩行で二本の腕を使い、背中に羽が生えた生命体だ。
化け物が再三忠告していた、天界の者、天使である。

「何故、化け物の子がドラゴンと猫と一緒にいるのだ?」

心底分からないという顔をして、天使は生き物の前に飛び上がった。

「貴様、どこからやってきた?……口がきけないのか?」

生き物の耳を強く引っ張る天使に、猫が再び威嚇をする。
「煩い生物だ」と猫が入った小屋を叩く天使を見て生き物はその大きな口を開き、思い切りその腕に噛み付いた。