【100日経っても幸せなヤツ】83日目
夜が明けて、洞窟を出ることにした一行を化け物は洞窟の出口まで見送った。
最後の最後まで「天界の者には気を付けろ」と忠告をし、ズッズッと這いずって去っていく背中を見送って、生き物はドラゴンの背中に跨った。
青く澄んだ空が見える。
白い雲が綿あめのように丸まっているのを見て生き物はコロコロと笑った。
猫はのんびり生き物の肩で伸びをして、寝る態勢に入っている。
地上の事は相変わらず分からないが、もうそろそろ谷の底に帰ってもいいかもしれないなと生き物は思っていた。
ドラゴンにその意思を伝えると、一言「ギャウ」と鳴いて同意の返事をして、燃える炎が見える方に頭を向ける。
こんなにウロウロしているのに迷子にならないんだなと感心して背中を撫でてやると嬉しそうに尻尾を振った。