【100日経っても幸せなヤツ】32日目
生き物の生活を観察し始めてから、1カ月が過ぎた。
生き物も、最近は子ドラゴンとの生活も悪くないと思い始めている。
子ドラゴンの方も生き物を信頼しているらしく、傷の手当てをはじめ生活の殆どを委ねていた。
まるで、世話されるのが当然という態度に少し可笑しくなって生き物は笑う。
遠くで猫の鳴き声が聞こえる。
耳のいい生き物には聞こえるが随分遠いのか、掠れている。
ドラゴンには全く聞こえていないようでのんきに腹を見せて「ギャア」と鳴いた。
これは、完全に甘えている時の声だ。
ここ数日で分かったことは、ドラゴンの生態は猫のようだということだ。
構いすぎると怒り、構わなかったら拗ねる。
今のように呼ばれたことを無視すると、生き物の体のいたるところを噛んで気を引こうとする。
生き物は仕方ないなと思いながら、白い肌の上に顔を埋めた。
爬虫類の匂いがする。
また遠くで猫の声が聞こえた。