【100日経っても幸せなヤツ】27日目
毎日の繰り返しは平和の象徴だ。
人間である僕たちは、毎日の繰り返しを窮屈に感じ、時間を無駄に消費していると感じてしまう時があるが、生き物は違う。
毎日太陽が昇るまで眠れる幸せを噛みしめ、朝食を食べられる幸せを全身で感じている。
藁でできた寝床の上薄い布をひいて体に藁が付くのを予防しながら、生き物はその上で幸せな微睡みを感じていた。
薄く目を開けると窓越しに七色の光が輝いているのが見える。
遠くで鳥が鳴いている。
生き物は朝に弱い。良く寝坊をする。しかし、予定がないのでそれが大きな問題になることもない。
眠れる限り眠る。それも幸せの一つだ。
重い頭をゆっくりと起こし、ぐーっと両の手を天井に触ろうとするように頭上に伸ばす。
ゆっくりと体が起きていくのを感じる。
筋肉が伸びて縮む。頭のぼんやりとした靄がゆっくりと晴れていく。
一つ大きなあくびをして、生き物はのそのそと尻を動かして藁の山の寝床から床に足を付けた。
ぐにぐにと足の指を伸ばしたり縮めたりした後、ゆっくりと立ち上がる。
のっそりと左右に揺れながら生き物はパントリーのドアを開けた。
今日は何を食べようか。
外ではまだ小鳥が楽しい歌を歌っていた。