じかんどろぼう

四十物茶々(あいものちゃちゃ)です。ゆっくりとSSを上げていきます。

【100日経っても幸せなヤツ】68日目

翼がないならば作ってしまえばいいのだ。
この本を書いた人間たちもそれを可能にしていた。自分にもできる筈だ。
生き物は木材を切り、翼の形をとらせると、背負えるように加工して、上に布を張った。
大きなタコの原理だ。
出来上がった大きなタコを使って、走り出す生き物は石に躓いて転んだ。
ごろごろと前転していき折角作った翼はバラバラになった。
思わず小さな声が漏れる。
しょんぼりと肩を落とす生き物を見かねて後ろから「にゃぁ」と猫の泣き声が聞こえた。
振り返るとドラゴンが勇ましい顔をして翼を大きく広げている。
何故、今まで思いつかなかったのだろう。
きっとこのドラゴンと猫と一緒なら谷の底を超えられる!
生き物は二匹を呼び寄せて壮大な夢を語った。