じかんどろぼう

四十物茶々(あいものちゃちゃ)です。ゆっくりとSSを上げていきます。

【100日経っても幸せなヤツ】80日目

その昔、この世界は人間界の住人と魔界の住人が激しく交戦を繰り広げていた。
というのも、増えすぎた人口の移住先として魔界を選んだ人間界の住人が魔界の生物を殲滅し始めたからだった。
魔界は全勢力で応援し、やがて巻き返していった。

戦場は魔界から、人間界へと変わっていった。

「一度売られた喧嘩は徹底的に買う」という、蛮族の集まりであった魔界の住人は、次々と人間界の住人を殲滅し始めた。
時には降参した住人をも滅したため、天界の住人が口を出してきたのだという。

「魔界と人間界の争いは見飽きた。双方滅ぼし、新しい世界を作る」

そう言って、第三勢力になった天界の住人は、人間界の住人、魔界の住人問わず殲滅していった。
魔界の住人はこれはマズいと散り散りに散ったが、人間界の住人は最後まで抵抗し、そして滅んでいったのだという。

「結局、新しい世界を作るというのも嘘だった。やつらは、戦闘がしたかっただけだ。理由を見つけて首を突っ込んできただけだ」

化け物曰く、生き物はその魔族の生き残りらしい。
そんなことは露も知らなかった生き物は「ほう?」と首を傾げる。

「昔から、漁夫の利を狙うヤツは居るということだ。覚えておけ」

生き物をゆっくりと撫でながら化け物はそう笑った。