【100日経っても幸せなヤツ】15日目
生き物が朝起きると、大きな足跡が一繋ぎ、谷の奥へと続いていた。
生き物は物置に置いたクワを持ち、ゆっくりと足跡を追っていく。
池の畔まで歩いてくると、水辺に大きな翼をもつ馬が座っていた。ペガサスだ。
悠々自適に水を飲みくつろいでいる。
生き物は構えていたクワをそっと脇に抱えて、ペガサスに背中を向けた。
他の生き物に深く干渉しないこと。
それが生き物がここまで生き残ってきた理由の一つだった。
ふと足元を見るとペガサスの羽が一枚落ちていた。
ゆっくりとそれを拾い上げ、空に掲げると虹色の光が羽に透けて見える。
いいものを拾った。
生き物は歩みを速めて小屋に戻った。